ゴールドな日常、プラチナな日々

貴金属装身具の修理・加工の店を営業中です

指輪をペンダントに直す

今日は初めてのお客さまで、エメラルドの指輪をペンダントに直したいという方が見えられました。男性のお客さまで奥様のものだそうで、お品は手許になくて、そのような加工が可能かどうか聞きたいとのことでした。
うかがうと、かなり大きなエメラルドで、ダイヤの取巻きとのことです。
そのリングのデザインをいかして、リング部分だけを除きペンダントに使えるようにしたいとのお話です。
購入の際にその宝石店では、簡単にリングからぺんだんとにできるという説明を受けたようです。
しかし、現物がないので、なんともいえないのですが、基本的にエメラルドは、非常に脆弱な石ですので、石をはずす際にかける危険があると説明いたしました。
なぜ石をはずさなければいけないかといいますと、リング部分を取り除いた(切り取った)部分を補修のためと、さらにヘッドのバチカンと呼ばれる部分を取り付けなければならず、それにはローヅケという作業が必要になります。このローヅケには、ガスと酸素を使って、およそ800度から1000度以上の高温の火力を使用します。その際、石をつけたままでは、エメラルドやダイヤが変質してしまいます。現在では石を付けたままでもローヅケ可能な装置もあるようですが、それとても万全とはいえません。ましてや高額なハイジュエリーでは、あまりおすすめはできません。
このような修理加工の場合、良心的かつ慎重なお店では、石の変質、破損の危険を説明して、必要とあれば、お預かり書にその旨を記載して、お客さまにご了承をいただいてから御預りしています。
宝石貴金属といった商品を取り扱うのには、加工のみならず御預りする時にも、慎重にあつかわなければなりません。

写真はローヅケ用バーナーです。